Island(rmx vocal)

武将か酋長か知らないけど。

相手の手番における考えの周辺

将棋界における相手の手番でのあれこれについて。
プロアマ間の違いが大きいと思われますので、ここでの対象は後者。

 

それほど歩いたりしない

阿倍野チェスクラブさんが仰る通り、一般の人間が参加するアマチュア将棋大会においては持ち時間が短いためそういった余裕がないというのが大前提としてあります。
県によっての違いはありますが、基本的には

  • 15分 or 20分+秒読み30秒*1
  • 25分 or 30分切れ負け*2

このパターンが多いですね。
日本国内のチェスの場合30分+30秒incrementがStandard公式戦として認められる下限ではないかと思いますが、将棋のアマ大会でこれだけの持ち時間が確保されていることは多くありません。例えばトーナメントの決勝あるいは準決勝からであったとか、あるいは地区予選に対する中央決勝大会であるとか、そういったある程度勝ち進んだ場面で出現することがある、というレベルです。*3

このような格好になっているのは1日で大会を終わらせるというのが前提になっているためです。会場の使用時間とおおよその参加人数から1局あたりにかけられる時間を計算した結果、どうしても上記のような短い時間にならざるを得ないというわけですね。
また複数日で行うというのは首都圏など大都市部では行われていますがそれ以外ではあまりないようで、結局のところ会場・スタッフの手配など運営側が成り立たないというところが大きいと思われます。*4

 

あともう一点、そもそも立ち歩くことをマナー違反・失礼だと捉える人がいるということは併せて述べておきたいところです。
この辺りの見方は人によって分かれるところですが、少なくとも盤前から離れる時・戻る時それぞれに「失礼します」「失礼しました」と一言かける人は少なからずいます。*5

これがどこからきたものなのかは正直よくわかりません。

 

相手の手番の時の考え方

将棋は終盤の複雑さから具体的な読みが重視される傾向がありますが、そこに秒読みという時間を持ち越せない制度と相まって、特に終盤においては「自分の時間をめいっぱい使って読みましょう」「相手の時間の間も頑張って読みましょう」とされることが多いでしょうか。
他方で「相手の手番時は抽象的に、自分の手番時は具体的に」というようなものは無いと言っていいと思います。個々人での考えのレベルにとどまっていますね。

そもそもで言えばチェスでいうところの抽象的な考え方というのも正直なところあまりないというか、例えばStrategyに相当するような概念も希薄ではあります。*6

これについての見方は難しいところで、シンプルに将棋界のまだ未成熟な分野であるともいえますし、他方でチェスとのゲーム性の違いから生じている差であるともいえます。

 

とりとめのない内容で恐縮ですが、そんな感じです。

*1:秒読みであるということは即ち同じ時間設定でもフィッシャーより短いことになる。

*2:時として20分切れ負けということもある。最早Blitzに片足突っ込んでいるような設定である。

*3:県代表を決める県大会決勝まで行くとそれまで切れ負けであったとしても秒読みが付くことが多いが、大会によってはそれすら切れ負けで行われることもある。

*4:逆にそこが何とかなっている大学生の大会は、一般アマ大会よりもかなり長い持ち時間になっている。

*5:これ自体はもはや慣例みたいなものかもしれない。

*6:ただもちろんゼロではなくて、今ぱっと思いつくのは「(実戦的な)勝ちやすさ」というもの。これは「ミスが起きにくい」「ミスをしても大きなダメージにならない」「攻めが続きやすい」などといった事柄を総合的に表すもので、選択肢の多い局面でとりあえず勝ちやすい形を選んでおくというのもよくある考え方。